導入事例

藤沢市|住民タッチポイントの再構築DX

藤沢市

設立 1940年10月
業種 公共機関・非営利団体
従業員規模 3,872人
資本金 官公庁のためなし

デジタル化が進む現代において、行政サービスもその例外ではありません。
藤沢市では、住民からの問い合わせ対応を効率化し、住民満足度を向上させるために、問い合わせ業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。電話やメール、ウェブサイトのフォームといった複数のタッチポイントからの問い合わせを一元管理するプラットフォームの構築やFAQシステムの整備により、業務効率を大幅に改善し、職員の負担軽減と住民の利便性向上を目指す取り組みが行われています。
この取り組みによりどのような成果が得られたのか、その事例をご紹介します。

課題
  • 問い合わせ数の増大とアナログな処理対応によって、業務効率が悪化していた
  • 電話、メール、ウェブサイトのフォームなど、各タッチポイントの問い合わせを集約できておらず、対応フローもバラバラで煩雑になっていた
  • コンタクトセンターの応答率が低く、住民の不便・不満に繋がっていた
導入サービス
  • 住民からの問い合わせ対応業務全般の見直し(サイロ化されたシステムと業務のBPR)
  • 問い合わせを一元管理するプラットフォームの構築
  • FAQのシステム構築
  • コンタクトセンターのシステム改修
効果
  • 応対履歴の一元化、見える化を実現し、応対数が280%伸びた(導入前の前後半年の期間を比較)
  • 回答のナレッジが蓄積され、職員へ取次される問い合わせ数が大幅に減少した
  • FAQの閲覧数が伸び、住民自身で解決が出来るようになった
  • 職員の問い合わせ業務の負担が軽減され、本来取り組むべきコア業務に注力できる時間が増えた

「若い世代から見放されてしまうのでは」という危機感

問い合わせをDX化するきっかけを教えてください。

宇田川様:

お店の予約する際に電話のみでネットで予約を受け付けていないと、そこへ行く気力がなくなってしまうこともあり、市役所への問い合わせが電話でしかできないことに疑問を感じていました。

私たちの世代だけでなく、Z世代といったデジタルネイティブ世代の若年層が大人になって、市役所へ出向いたり問い合わせをする際に、アナログ的なサービスを続けていたら、若い世代から見放されてしまうのではないかという思いがあります。

まずはすべての市民・事業者・行政の接点となる部分である「問い合わせ」の業務にフォーカスし、問い合わせを集約してデジタルで完結できる未来を作っていこうと思ったのがきっかけです。

udagawa企画政策部 デジタル推進室 主任 宇田川 様


問い合わせの回答だけで日中の業務を圧迫してしまう現状

原課では、システム導入前はどのような課題がありましたか?

中村様:

私が所属している管財課は、庁舎の管理や、市の土地の管理を担っている部署となります。
市民の方と接することが多いため質問の数も多く内容も多岐に渡り、問い合わせの回答だけで日中の業務を圧迫してしまっていました。そのため、本来私たちが取り組むべきコア業務になかなか注力ができないという実状がありました。

問い合わせ内容は、土地の法律に関する専門的なものから、庁舎の開庁時間や駐車場の利用に関する一般的な質問もあります。ほとんどすべての質問を各課が取り次いでおり、日中はそういった質問に一つ一つ対応する必要がありましたね。

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財政部 管財課 中村 様

 

新たな業務に手を付けられ、集中できるように

システムが導入されてから、どのような変化がありましたか?

中村様:

今回疑問解決プラットフォームを導入したことにより、課への取次が全体的に大幅に減少したことを実感しています。FAQポータルである「ふじまど」を開設して、市民がFAQを探しやすくしたことにより、開庁時間などの一般的な質問は来なくなりました。課へ取次がれる質問の総数が減ったため、自分の業務に集中できるようになりました。

FAQを更新することで問い合わせが減ることを実感できているため、FAQ更新は職員自身でやっています。難しい操作の必要もなく、簡単にできますし、新しい制度設計の見直しなどこれまで手を付けられなかったことにも挑戦できていることが更新のモチベーションとなっています

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職員、市民双方の負担軽減が実現

鶴小屋様:

応対の履歴を見ると、以前よりもオペレーターがワンストップでお答えできていることで、市民の方も通話の時間が減っており、市民の方にとっても少なからずメリットになっていると感じます。職員、市民双方にとっても、負担が軽減されているように思います。

これまでの応対履歴を閲覧できるようになっただけではなく、その中でどういった質問が多いのか、どのような質問をされると各課に取次ぎになるのかというのをシステム上で分析できるようになっています。

そういった分析を通してFAQを充実させることで、これまで各課に取り次いでいた電話を、さらにオペレーターがワンストップで対応できるようになるという発展性がこれからも見込めるので、これからの可能性にも期待したいです。

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市民自治部 市民情報相談課 主査 鶴小屋 様

 

Blueship担当者からのコメント

Blueship 寺澤:

今回ご支援した内容は、大きく4つになります。「様々な問い合わせ方法の実現」「問い合わせのデータをプラットフォーム上で一元管理」「ナレッジ蓄積、レポートによる分析」「FAQポータルの構築」です。これら全てを1つの基盤上に構築するのが今回のコンタクトセンターの支援内容です。図にすると以下のようになります。

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「オムニチャネル」と書かれた部分で、住民からの問い合わせ手段を拡張し、対応するオペレーターは電話やチャットなどチャネルを問わず同一のナレッジ(FAQ)を見て回答する仕組みを提供します。特徴としては、問い合わせへスピーディに対応できるようになり、住民もWebを見たら回答が得られるという状況を構築できるという点があります。現状はコンタクトセンターだけですが、今後は来庁せずに行政サービスを提供できるという仕組みを目指していきたいと考えています。

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こうした仕組みが今後、「シン・シヤクショプラットフォーム」へと進化していきます。市民にとってはパソコン、モバイル、電話といった好きな方法で自分のやりたいことを実現できるようになり、データは内部に取り込み必要に応じて他システムと連携していく。これら全てを同一基盤上に構築し、申請受け付けから処理完了までを一気通貫でできるようにしていくというところまで進めたいと考えています。

 

― 藤沢市様、インタビューにご協力いただき有難うございました。

※ページ上の情報は、取材時のものです。